観心本尊抄 本文ふりがな付① p238


如来滅後にょらいめつご  五百歳ごひゃくさいに はじむ 観心かんじんの 本尊抄ほんぞんしょう

 

如来滅後にょらいめつご  五百歳ごひゃくさいに はじむ 観心かんじんの 本尊抄ほんぞんしょう

本朝ほんちょう 沙門しゃもん 日蓮にちれん せん

文永十年ぶんえいじゅうねん 五十二歳ごじゅうにさい 御作おんさく

 

 

 

p238

 

 

摩訶止観まかしかん 第五にだいごに 云くいわく

世間とせけんと 如是とにょぜと 一なりいちなり 開合のかいごうの  なりなり

 

夫れそれ 一心にいっしんに 十法界をじっぽうかいを 具すぐす

一法界にいっぽうかいに また 十法界をじっぽうかいを 具すればぐすれば 百法界ひゃっぽうかい なりなり

 

一界にいっかいに 三十種のさんじゅっしゅの 世間をせけんを 具すればぐすれば

百法界にひゃっぽうかいに すなわち 三千種のさんぜんしゅの 世間をせけんを 具すぐす

 

此のこの 三千さんぜん一念のいちねんの 心にこころに 在りあり

 

若しもし こころ 無んばなくんば 而已やみなん

 

介爾もけにも こころ 有ればあれば 即ちすなわち 三千をさんぜんを 具すぐす

 

乃至ないし、 所以にゆえに 称してしょうして 不可思議境とふかしぎきょうと 為すなす

 

こころ 此にここに 在りあり。」 とう 云云うんぬん

 

ある 本にほんに 云くいわく

一界にいっかいに 三種のさんしゅの 世間をせけんを 具すぐす

 

問うてとうて 云くいわく

玄義にげんぎに 一念三千のいちねんさんぜんの 名目をみょうもくを 明かすやあかすや

 

答えてこたえて 曰くいわく

妙楽みょうらく 云くいわく 明かさずあかさず

 

問うてとうて 曰くいわく

文句にもんぐに 一念三千のいちねんさんぜんの 名目をみょうもくを 明かすやあかすや

 

答えてこたえて 曰くいわく

妙楽みょうらく 云くいわく 明かさずあかさず

 

問うてとうて 曰くいわく

其のその 妙楽のみょうらくの しゃく 如何いかん

 

答えてこたえて 曰くいわく

並にならびに 未だいまだ 一念三千といちねんさんぜんと 云わずいわず」 とう 云云うんぬん

 

問うてとうて 曰くいわく

止観のしかんの いち  さん  等にとうに 一念三千のいちねんさんぜんの 名目をみょうもくを 明かすやあかすや

 

答えてこたえて 曰くいわく

之れこれ 無しなし

 

問うてとうて 曰くいわく

其のその しょう 如何いかん

 

答えてこたえて 曰くいわく

妙楽みょうらく 云くいわく

故にゆえに 止観にしかんに 至つていたって、 正しくまさしく 観法をかんぽうを 明かすあかす

 

並びにならびに 三千をさんぜんを 以てもって 指南としなんと 為すなす。」 とう 云云うんぬん

 

疑つてうたがって 曰くいわく

玄義げんぎ 第二にだいにに 云くいわく

 

また 一法界にいっぽうかいに 九法界をきゅうほうかいを 具すればぐすれば、 百法界にひゃっぽうかいに 千如是せんにょぜ。」 とう 云云うんぬん

 

文句もんぐ 第一にだいいちに 云くいわく

一入にいちにゅうに 十法界をじっぽうかいを 具すればぐすれば、 一界いっかい また 十界じっかい なりなり

 

十界じっかい おのおの 十如是じゅうにょぜ あればあれば 即ちすなわち 是れこれ 一千いっせん。」 とう 云云うんぬん

 

観音玄にかんのんげんに 云くいわく

十法界じっぽうかい 交互こうご なればなれば、 即ちすなわち 百法界ひゃっぽうかい 有りあり

 

千種のせんしゅの 性相しょうそう冥伏してみょうぶくして 心にこころに 在りあり

 

現前せずとげんぜんせずと 雖もいえども、 宛然としておんねんとして 具足すぐそくす。」 とう 云云うんぬん

 

問うてとうて 曰くいわく

止観のしかんの 前のさきの 四にしに 一念三千のいちねんさんぜんの 名目をみょうもくを 明かすやあかすや

 

答えてこたえて 曰くいわく

妙楽みょうらく 云くいわく 明さずあかさず

 

問うてとうて 云くいわく

其のその しゃく 如何いかん

 

答うこたう 弘決ぐけつ 第五にだいごに 云くいわく

 

若しもし 正観にしょうかんに 望めばのぞめば、 全くまったく 未だいまだ 行をぎょうを 論ぜずろんぜず

 

また、 二十五法ににじゅうごほうに 歴てへて 事にじに 約してやくして 解をげを 生ずしょうず

 

方にまさに 能くよく、 正修のしょうしゅうの 方便とほうべんと 為すになすに 堪えたりたえたり

 

是のこの 故にゆえに、 前のさきの 六をばろくをば みな 解にげに 属すぞくす。」 とう 云云うんぬん

 

また 云くいわく

故にゆえに 止観のしかんの 正しくまさしく 観法をかんぽうを 明かすにあかすに 至つていたって

 

並びにならびに 三千をさんぜんを 以てもって 指南としなんと

 

 

 

 

 

 

※読みやすくするために、文字の間を空けたり、句読点(。)や濁点(、)、カッコ(「」)をあえてつけています。